揉めない相続の為に
遺言書を作りましょう。
(公正証書遺言がベストです)
しかし注意が必要です。
① 一方通行遺言
現存する財産だけで分けると不平が出ます。
何故なら、過去に遡って思うと
有名私立学校に入れるために多額の資金援助をした、
あるいは投資の損失穴埋めに資金提供した、
等々、それぞれの子供に援助(特別受益)
していることがしばしばあります。
「相続開始3年以内」贈与は相続税の対象となるので、おもてに現れ計算に入れますが、
それ以前の贈与は相続税の対象外となることから配慮の外になる可能性があります。
しかし子供たちは覚えています。
秘密にしていたはずなのに、なぜかどこかで漏れて皆が知っている。
また、現在の家業の発展は、
不眠不休で手伝った長男の過去の貢献(寄与分)に負うところが大きいにも拘わらず、
その貢献の評価を加味せずに
現在の財産だけで、しかもアタマ割で分ける事(考慮していない)が有ったり
そんな過去の事実を無視して、
親の独断で分割案を文章にしたまま、子供に理由の説明もなく、
あの世に行ったら、残された子供たちは「依怙贔屓」と誤解します。
② 遺言ナシ
かと言って、
何も書かずに「あの世」に行くと、声の大きい者が独り占めしたり色々もめます。
相続人が一人の場合:揉めることは有りませんが配偶者以外、税金も単独負担です。
相続人が二人の場合:声の大きい方が独り占めする可能性が高いです。
相続人が三人の場合:声の大きい者が相棒と結託して残りの一人を「放棄」させる等の方法で弾き出す可能性があります。
相続人が四人以上の場合:意見調整がむずかしくなり、派閥が出来ます。
このように、ご両親がご健在の間は想像もしなかったことが起こります。
先祖代々引き継いできた自宅をサッサと「売り払う」事も、ごく簡単にやってしまいます。
相続人単独では申し分ない人間性であっても
相続人の家庭全体(嫁・婿・孫)を見極めておく必要があります。
「俺が死んでからの事は知らん」というのでは、
ご先祖様に申し訳が立たないと思いますし、
親がリードして遺産相続を計画的に進めないと、
残された子供たち相続人同士ではまとまりがつかないか、
声の大きい者の独り占めとなってしまいます。
そうならないためには
ご健在の今(将来)相続人となる子供達の希望を聞き出すことが重要です。
③ 親・子の心理が読める事
いろいろな土地の評価が難なく出来て、相続税の金額を計算する事には精通しても、
それだけで充分とは言えないと思います。
また、素人でも簡単に土地評価・相続税額計算が可能なシステムがいずれ近いうちに現れるでしょう。
①②で述べたような親(被相続人)の願い、子(相続人)の想いが理解できないと
「専門家」として最良のアドバイスは不可能ではないでしょうか。
父の葬儀が相続専門の税理士事務所への初出勤日と重なり、
慌てて連絡し出勤日を一週間ずらしてもらいました。
父の相続時にはまだ資格がなく勉強中であった為、
相続税専門の所長先生の指導のもとに「ナマの教材」として相続税申告書を作りました。
その20年後には(資格も取得し独立開業していたため)
母の葬儀の翌日、個人所得税の無料相談うはらホールの責任者として
相談会場に立ちました。
葬儀の当日は住吉斎場へ向かう車の窓から「明日は会場」との思いを胸に
雪の舞う「うはらホール」の前を通り抜けたのが昨日のように思い出されます。
税理士の道に進んでいなかったら現在のように兄弟姉妹が仲良く
それぞれの生活を楽しく送る事が出来たのか疑問に思うことがあります。
両親の遺産はまさに「相続の実体験」であったように感じております。
④ 元気な今、子供の意見を聞く
介護に献身的に尽くしてくれている長男の嫁に感謝を表現するため、
「嫁にも分ける」と遺言に記載する事を皆に公言する。
医学部に進んだ次男には、
相当の学費を援助したから「相続時の分け前が減る」ことを本人に自覚させる。
それと同時に、当人それぞれの本音を聞く。
意見が一致しなければ何度も話し合って、
ひざ詰め談判が円満一致したら親族会議で内容を公にする。
ここまでくれば遺言書の必要もなくなるように思われますが、
念のために公正証書にしておく。
⑤ 遺産が少ないと早めの対応が必要
人数分の遺産があればスムーズに事が運びますが、少ない場合は時間がかかります。
そのために、元気な今スグに行動を開始されることが必要です。
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